日本航空再建問題は「小泉改革の延長戦」 part2
日本航空のデュー・ディリジェンスを行った「JAL再生タスクフォース」の顔ぶれは、小泉改革を推進していた勢力に他なりません。つまりJALは「不良債権処理」として、バラバラに解体され外資にたたき売られてしまっていたかもしれないのです。
前原チームは小泉改革の主流派だった
小泉時代には、そうした欧米から押しつけられたおかしなルールによって、本来であれば、存続させかつ黒字化することができる会社であったとしても、再建の可能性は顧みられず、うやむやのままに資産を収奪されていった日本の会社はたくさんあります。
さて、日本航空の問題に戻ってみると、日本航空もまたタスクフォースの手によって資産査定が行われました。前原国土交通大臣は、9月24日に日本航空が提出した自主再建案をその日のうちに却下して、その翌日から「JAL再生タスクフォース」(チーム前原)の50人の専門家が日本航空にデュー・ディリジェンスのために乗り込んでいるのはまさに異常ともいえる手回しのよさです。一説によると、デュー・ディリジェンスチームへ日本航空が支払うコンサルタント料は10億円とも言われています。
前原誠司国土交通大臣が日本航空(JAL)に送り込んだ「JAL再生タスクフォース」(チーム前原)の中心人物である冨山和彦経営共創基盤取締役は、産業再生機構COOとしてカネボウなど多くの会社を解体して売ってきた張本人です。小泉竹中改革路線を推進した一人であることは間違いないと言えるでしょう。彼らがやっていた産業再生機構のメンバーから何人かがタスクフォースに入っています。
また、産業再生機構は再生・支援を手掛けた企業のうち、実際存在させつつ再生させた企業は約25%と聞きます。残りは単なる解体売却だったのではないでしょうか。
JALを「不良債権処理」のレールに乗せてはならない
つまりこれは、小泉竹中路線の不良債権処理を、日本航空に強引に当てはめようとしているということです。「不良債権なのだから収益還元法で安く評価して売り払って何が悪いのでしょうか?」とタスクフォースは頑張っているのでしょう。そうやって日本航空に貸し付けている銀行の不良債権をたたき売って、日本をよくしようという話なのでしょう。
ところで、産経新聞に談話として載っていた竹中氏の認識によれば、「郵政事業の民営化も不良債権処理の一環」だったようですが、その結果として郵政民営化で起こったことは、かんぽの宿問題に象徴されるようにみなさんご存じのデタラメな国民の財産の収奪だったのです。
国が所有している郵政事業の資産は私企業と違って資金繰りの都合で、買い手の言いなりで、二束三文で売却する必要が全くありません。にもかかわらず、なぜ、国民の財産である郵政事業の資産があんな値段で、特定の人々に売却されたのでしょうか。そして、売り急いだ事について、合理的な形で説明責任が果たされていないのも不思議な話です。
前原タスクフォースは表舞台から去ったといっても、日本航空再建も、やり方ややっている人材が、一連の不良債権処理や郵政民営化とぴったり重なっているのですから、全く同じことが起きるのは目に見えています。おそらく日本航空は巨額の公的支援が投入された後に、カネボウのようにバラバラにして、わずかな資本金を投入した特定の人々に売られてしまうでしょう。
政権が代わって小泉竹中改革路線は消えてしまったように見えますが、とんでもない勘違いです。その残党は名前を変えてしっかり現政権とも手を結んでおり、日本航空再建のような表舞台でいまだに大活躍しているということを世間は認識するべきです。
だから地方在住者も、中央で外資と結託してそうした輩達が日本人がこれまで築いてきた財産を収奪する手助けをしたりしないように、しっかりと見張っていなければなりません。民主党政権になったからといって安心していては、自民党政権のときよりもひどくなる可能性のあるものはたくさんあると思います。政権が変わったからといって、放っておけばすべてが刷新されるというわけでは決してないのです。