JAL既存株主よ、立ち上がれ!
「日本航空の既存株主は100%減資によって権利をすべて取り上げる」という日本航空再建案。企業再生支援機構、もしくはその他関係者の再建案リークにより株価は大暴落。JALの有価証券報告書を信じて、同社の再建を支えるため株を持ち続けた40万人の株主をないがしろにして企業再建など可能なのでしょうかす。
JAL再生案リークにより株主は損害をこうむった
そしてここに、さらに大きな問題があります。企業再生支援機構が出したという日本航空再建案によれば、日本航空の既存株主は100%減資によって権利をすべて失うということになっているようです。しかし私には、これはかなりおかしな話であるように思えます。
だいたい企業再生支援機構の誰がマスコミに支援策を洩らしているのかわかりませんが、そのリークによって「日本航空株は紙くずになる」という憶測が広がり、一般株主の投げ売りが起こって日本航空株は年明けの2日間で60円も値を下げ、1月半ば以降、2~3円のレベルになっています。株主にとっては大損害です。私どもは日本航空株を120万株持っています。
そもそも減資を行うのであれば、株主総会によって株主の同意がなされなければならないはずです。それもなしに、「100%減資しますよ」と、まだ1株持っていない企業再生支援機構の人間が勝手なことをマスコミに漏らすことによって、既存の株主に大損害を与えるというのは一体どういうことなのでしょうか。何の権利があってそのようなことをするのか、問いただしたいところです。
企業再生支援機構が株主総会を経ずに株主の権利を侵害するとするならば、憲法違反です。にもかかわらず再生機構が「100%減資」などということをマスコミに言って、それによって株価が暴落するなどというのは全くとんでもない話です。
巨額粉飾決算の疑いあり
彼らはこうしたとんでもないことをしているわけですが、その根拠になっているのは、「日本航空が債務超過になっている」という事実です。しかしこれもどうでしょうか。2009年3月期の日本航空の有価証券報告書では、日本航空は債務超過ではありません。それに従って株主は株主総会で決算を承認したはずです。継続企業の疑義すら記されていません(注記がついたのは2009年9月中間連結決算から)。監査報告書がついた有価証券報告書が出ています。
健全会社だったはずの日本航空が半年後、前原チームがデューディリジェンスした結果では5500億円の債務超過であり、現在では8500億円にものぼる債務超過になっていると企業再生支援機構は想定しているのです(前述しましたが、仮にこの数字に何らかの根拠があったとしても、それを知り得る人間は守秘義務の観点から外部にでることはない情報です。株主としてはこの情報の漏えい者に対して、守秘義務違反による株価の下落に係わる損害賠償を請求することができるはずです)。
たった6カ月でなぜこれほどの資産の減少が起きたのでしょうか。ぜひ説明していただきたいところです。
しかも前原チームは数十人の会計士、不動産鑑定士のチームでデューディリジェンスを行ったと聞いていますが、企業再生支援機構がさらに独自のデューディリジェンスを行ったとは私は聞いていません。そんな時間もゆとりもなかったはずです。
当社も国際会計基準に従って、監査法人からいろいろ文句を言われながら有価証券報告書をまじめに作成しています。リーマンショック以降、監査法人から監査報告書を出してもらえないために潰れた会社も何社もあります。では日本航空の監査を行っている新日本監査法人は、「09年3月末の段階では日本航空は財務的に全く問題のない会社だったが、たった半年後に地獄に落ちてしまいました。これは不自然なことではありません」ということをきちんと株主に説明することができるのでしょうか。そうでなかったら、粉飾決算に手を貸したということではありませんか。粉飾決算は刑事罰の伴う立派な違法行為すなわち犯罪なのですから。