出でよ! 「地方政党」
現在の日本の抱える最大の問題は、東京と地方の格差、地方の経済的疲弊と社会問題です。「地方と東京の分配の問題を根本から考え直す」を旗印にした政党が出てきてもおかしくないはずです。
地方選出の国会議員よ、立ち上がれ!
そろそろ地方政党が出てきてもよい時期なのではないでしょうか。
ついに自民党から民主党に政権が交代しました。
しかし現在の日本の国家マネジメントは、民主党が政権を取ろうが、自民党が政権を取ろうが変わるものではないという厳然たる事実を考えると、二大政党制において政権交代が実現したということにどれほどの重みがあるのかは疑問です。
政治の大きな役割は、バランスのよい富の配分であることを考えると、現在の最大の問題は東京と地方の格差、地方の経済的疲弊と社会問題であるはずです。
これまでは「東京を徹底的に強くすることによって国際競争に勝てば、最終的にそれが地方の底上げにつながる」というロジックで地方の収奪が行われてきました。しかしそれはもう破綻してしまったのです。
地方と東京の分配の問題を根本から考え直す必要が出てきたことは、多くの人たちが認識しています。
別に地方のわがままを聞いてほしいと言っているわけではありません。
「国家全体においてのバランス感覚を意識しながら、立法や予算措置、行政執行が行われないまま地方が放置されている現状をなんとかするべきだ」と言っているだけなのです。
すくなくとも地方選出の国会議員は全員が、「国と地方の資源のアンバランスな配分は深刻な問題である」と認識して、地方からみて心地よい仕組みを国家のマネジメントの中に入れ込む努力をするべきでしょう。そういう政治集団が現在、存在しないということは大いに問題です。
いきなり政党を作るのが困難であれば、民主党と自民党をはじめとする地方選出議員は、党議拘束をはずさせて、地方にとって都合の悪い法案にはすべて反対することにするというところから始めてもよいのではないでしょうか。
あるいは超党派で地方振興を考えた議員立法をやるというところからでもよいでしょう。
「東京と地方の格差」を旗印に
政党公認の意味が大きい小選挙区制の採用と、政治家が政党からお金をもらう形の政党助成金によって、国会議員も政党やマスコミに支配されて官僚化してしまい、この国の政治の形はかなり曲がってしまっています。
とは言え、今のところ隠されていて争点として浮上していない「東京と地方の格差」を、人間の力によって合理的になんとかするというのが民主主義の正しいあり方のはずです。
社会や経済の環境は常に変化するのですから、「いつまでたっても従来のポリシーが正しい」ということはあり得ないことです。しかしそれを全く修正できないほど、現在の国会議員は官僚以上に官僚的になってしまっているように見えます。
「小泉竹中構造改革は間違いでした、失敗でした」と謝って、「でもみなさんここから先はちゃんとやりますから」と言えなかったから、自民党は国民の信任を得ることができずに、結局下野することになったのです。
地方経済の死は、日本経済全体の死に直結しています。
小泉竹中構造改革の10年間に、地方の疲弊はますます進みました。現状を改めて、地方に活力を取り戻すため、地方政党的な動きが出てきてもおかしくはないはずです。
今のところバラバラに分断されている地方選出国会議員を、どのようにして地方の利益を守るためにつなぎ合わせるのか、簡単なきっかけさえあれば地方政党の台頭は意外と現実的ではないかと思うのです。