岩崎芳太郎の「反・中央集権」思想

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小沢氏が捜査対象になるなら、JALはもっと社会的問題だ

小沢氏と小泉元首相と、一体どちらが独裁者だったか。どちらが政治家として独裁者的な権力行使を行ってきたでしょうか。確信犯か過失かよくわからない小沢氏の政治資金報告書の虚偽記載(仮に、確信犯だったとしても立証できなければ、法治の理念上は意味をなさないのです。)に比べれば、私の視点からみれば、JALの有価証券報告書の虚偽記載のほうが確信犯であり、社会的損害も大きいはずです。

小沢氏が「悪の権力者」なら、では小泉元首相は?

小沢氏の件に関して重要なことは、あくまでも法治国家として、小沢氏にかけられている嫌疑は政治資金報告書虚偽記載についてのものであって、マスコミ報道を通してゼネコンからの贈収賄をその先に予見させたり、脱税などより悪質な犯罪の存在を匂わせて、「小沢氏は巨悪である」といったイメージを作ったり、過剰に演出的な側面を持たせた捜査に妥当性があるのか、私の持つ市民意識からは疑問が残ります。いずれにせよ、大衆扇動型の「正義」の実現は真の法治ではありません。

マスコミはさらに小沢氏の独裁者としてのイメージや、影の権力者としてのイメージをおもしろがって煽っています。しかし小沢氏と小泉元首相と、一体どちらが独裁者だったか。どちらが政治家として独裁者小沢氏が「悪の権力者」なら、では小泉元首相は?的な権力行使を行ってきたか。そして現実にこの国に多くの不幸なでき事を巻き起こしたのは誰だったのか。そしてマスコミは、小泉元首相の独裁政治についてバランスのよい報道を果してしてきたと言えるのでしょうか。私は極めて疑問だと思います。にもかかわらずマスコミは小沢氏に関しては当該嫌疑以上の悪質なイメージを創り出し、情報のない大衆を煽っているのはたいへん問題を感じさせることです。
もちろん、私も実際小沢氏の周辺で何が起こったのかは知る由もありません。しかし法治の下では、司直の機関以外に何人も嫌疑を創作し、容疑者を作り出すことはできません。それが、マスコミであったとしてもです。

小沢氏が政府の重要なポジションを占めていたのであれば、法的な責任以外にも道義的な責任が問われてくると思います。しかし彼は現在、あくまでも一政党(政権を持つ公党と言えども、政府ではないのです。)の幹事長という立場でしかないわけですから、その彼に道義的な責任を問うのは実に恣意的な話だと思うのです。
私は小沢氏に会ったことはないので個人的なことはよく知りませんが、彼の独裁的なイメージというのは、過去において政治的に小沢氏の立場と不一致となり、たもとを分かった人たちの持つ、その人たちなりの小沢氏のやり方に対する嫌悪感や個人に対する好き嫌いに起因しているのではないでしょう。小沢氏自身が違法なことをして独裁者的に権力を振ったという事例は狭義の公の世界では、私は聞いたことはありません。

マスコミは郵政民営化を小沢氏並みにチェックしたのか?

民主主義においては、多数決を原則としています。これをネガティブイメージでとらえると、「数を頼って何でも自分の好きなようにしている」ということになるかもしれません。しかしこの政体においては、すべては数でしか決まらないわけですから、「数を頼る」という手法自体を指して、「小沢氏は独裁者である」というのは当たらないと私は思います。逆説的ですが、「数を頼る」小沢氏は最も民主主義的ではないでしょうか。
法治国家のシステムの中では法を守る、あるいは道徳的に振る舞うという決め事があるわけですが、それだけでは解決することができない複雑な利害の調整を必要とする問題が人間社会に多々あります。それを何とかケリをつけるやり方として政治的な多数決原理があるわけです。

そうした政治の世界の多数決原理をネガティブにとらえ、政治の世界に対して必要以上に法を根拠としてその法の恣意的な解釈と運用のみで「正義」を振りかざして徹底的に個人を追い込むというのは、私には釈然としないことです。

マスコミは郵政民営化を小沢氏並みにチェックしたのか?また、社会経済学的な観点からすると、社会的な資源の配分としてももったいないことです。そのようなことに使う捜査能力があるのであれば、JALや郵政民営化問題の告発についても、まともに取り上げていただきたいものです。国民の被った損害額や悪質性については、確信犯であれ、過失であれ小沢氏の政治資金報告書の虚偽記載に比べれば、JALの有価証券報告書の虚偽記載のほうが確信犯である上、社会的損害も大きいのですから。
さらに言うならば、郵政民営化のプロセスで起こった不正かつ違法な行為はより悪質であり国民が被った損害は莫大です。そして、その社会的な病巣が排除されず、日本の社会システムの中に温存されているのですから。なぜこれを徹底的に追及しないのか私には疑問です。

徹底的に追及する主体は検察だけではなく、マスコミについてもその責任は同様であると私は考えます。
もし小沢氏の問題が「彼は権力者であるがゆえに厳しいチェックをしなければならない」ということで大きく取り上げられているのであるとするならば、小泉元首相や小泉元首相の庇護下にあった竹中氏に関しても小沢氏同様の、あるいはそれ以上の巨大権力を持っていたわけですから、同じように厳しいチェックをしていたのですかと問いたいと思います。もしそれだけ厳しいチェックをしていたのであれば、私がこのサイトで取り上げたり、あるいは告発しようと考えているような、郵政民営化をめぐる数多くの犯罪や不正行為は未然に防止されていたのではないでしょうかと言わざるをえません。
あいかわらず「小沢一郎氏が辞めたほうがよいかどうか」を問うような世論調査をやる金と時間があるのであれば、ぜひJALや郵政民営化の問題についてももっとメディアで取り上げてほしいものだと切望します。かんぽの宿などの問題が発覚したときに、西川善文氏の日本郵政のトップとしての道義的責任を追及したマスコミはなかったのはなぜなのでしょうか。

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