役人の言うがままに申請書を書き直す必要などない
役人側は、こちらの無知につけ込んで申請書を受理しないか、もしくは違法な行政指導を行って本人の任意によって申請書の内容を書き替えさせれば勝ちなのです。賢くなければ損をするだけです。
役人の言うがままに申請書を書き直す必要などない
たとえば行政用語で「補正」というのがあります。
昔は申請する際に、事前相談を役所と行っていたので、申請書を出す段階では受理されることが確実でした。また認可されることも内々に決まっていました。そこに役人の大きな裁量権があったわけです。
しかし今では、役所に申請書を出すのは申請者側の勝手になっています。そして役所は申請書が出たら受理しなければなりません。
申請書を受理した役所は、だいたい60~90日の標準処理期間のうちに判断して、申請を拒否する処分をする場合は理由を文書で提示することが法律で義務づけられているのです。そしてその文書に納得がいかなかった場合に、初めて申請者は裁判を起こすことができます。
ところで行政は、申請書を書き直すように申請者に求めることができます。
それが「補正」なのですが、補正のそもそもの厳格な定義は、「法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請について」書き直しを求めることですから、例えば用語が違うといった場合に限られるわけで、申請の中身自体を変更させることはできないのです。
しかしこれまでは役所は、「このままでは申請が通らないので、このように書き直せ、直さなければ申請は通らないし、それどころか書類は受理しない」と言うので、みんな泣く泣く書きなおして来たというのが実情です。
しかも、行政手続法においては、許認可をするかしないかに絡めたそのような事前相談や補正は行ってはならないと明確に定められたわけです。
裁量権を守りたい役人側はそのようにして、こちらの無知につけ込んで申請書を受理しないか、もしくは違法な行政指導を行って本人の任意によって申請書の内容を書き替えさせれば勝ちなのです。
でも私はそんなことはしません。申請書は受理しないわけにはいかないのだから役所の窓口に置いてきます。「それで却下するのならするがいい、行政手続法という担保があるんだから、こちらは徹底的に争うからね。」というだけのことです。
ですから、常に心がけておくとよいことは、役所と面倒なことになったときには裁判をするつもりでいろいろな準備をしておけばよいということです。裁判に至るまでの詰めが甘ければ、裁判には勝てないのですから。