絆メール (7)
鹿児島市長も鹿児島市を経営する経営者です。
市民のニーズに的確に応える行政サービスを提供出来る市長、鹿児島市をより活気があって豊かな地域にできる市長は、有能な経営者に求められる資質を持っていなければなりません。
特に、今からの4年間は日本の国力が衰退し、地方が切り捨てられて行くような、そんな厳しい逆境において、鹿児島市を倒産させないために、これからの鹿児島市の市長は、単なる有能な行政マンというだけではなく、有能な経営者としての資質がなければ務まらないと思います。
経営者の責任「決断に対する責任」「説明責任」「結果に対する責任」
経営者は、自分が経営する会社を発展させるためには、3つの責任を負わなければなりません。鹿児島市を経営する市長は、市の発展に不可欠なこの3つの責任に真摯に向きあって市政を行っているでしょうか?市立病院の移転問題で、これを説明します。
■説明責任
1何故、JT跡地を何十億円も使って購入しなければならなかったのか?
2現在の場所で増改築を行なうことで、次の50年間に耐えうる病院にすることは出来なかったのか?
3最近はほとんどの公設公営病院は赤字であり、その地域の民間医療機関で対応できない緊急医療や高度医療のみ行うのが、行政のスタンスとして常識であるにもかかわらず、なぜ現状の総合病院のままで移転するのか?
4公営であるが故に運営コストが高く、5億円もの赤字を税金で補填している上に、移転費に300億円もかかれば、状態は更に悪化すると思われるが、どうやって市立病院の経営を建て直すつもりなのか?
5結果として民間の医療機関の経営を圧迫し、最終的には民間の医療機関の、ひいては鹿児島市全体の医療水準が低下する。そういう大局的な観点からの検討を行った上で市立病院の移転を政治判断したのか?
何も知らされていないが故、市民は当然にこんな疑問を持ちます。これ以外にも疑問はまだまだあると思います。民間企業の経営者であれば、役員をはじめ社員・銀行・取引先など関係者、そして株主に対する究極の説明責任から逃げることは許されません。一例ですが、この300億円のプロジェクトに対する対応をみて、現職市長の説明責任のレベルが合格点を超えているとお考えになりますか? 現職市長は説明責任を果たすべき立場にあるという自覚を持っていないのです。
■決断に対する責任
上記1~4の疑問に誰が答えるのでしょうか? 決断に対する責任を負うべき人です。一番わかりやすいのが2の疑問です。現在の場所で建て替えた方が費用対効果は大きいはずですが、移転を決断した最終意思決定者であるはずの現職市長は、それ以上の効果が期待できるという自分なりの判断基準を持って、決断したのでしょう。説明責任が果たされていませんから私達は知る由もありませんが、一つだけ明確なことがあります。
現職市長の8年間の市政において、現状を改革する施策は何一つ為されたことはなく、ただ現状を維持するのみだったことです。状況証拠的な事実から見て、現状を追認し、古くなった建物の建替のためだけに移転の決断が為されたと考えて問題ないと思います。
即ち、現職市長を含め誰も決断をしていないのです。いわゆる「赤信号皆で渡れば怖くない」的な、判断や決断が存在しない無責任プロジェクトです。決断の責任が経営トップにも存在しないプロジェクトなんて、民間の組織ではありえません。万が一失敗し、大きな損害を発生させた時、民間ならその意思決定者は責任をとって何かしらの対応を行ないます。仮に市立病院移転プロジェクトが、鹿児島市の財政を致命的に悪化させた時、現職市長は決断に対する責任をどうとるのでしょうか?
■結果責任
建築途中や移転後に環境や前提条件が変わって、プロジェクトに問題が生じた場合でも、間違いや不都合を改め修正を加え、結果を少しでもよい方法に持っていくのが普通です。但し、官僚組織においては「無謬性」の罠があり、『お上は間違ったことは絶対にしない』という虚構を貫き通し、間違いを認めません。官僚組織である市役所で唯一修正を断行できるのは、政治家である市長だけです。でも決断に対する責任を持って、取り組んでいなければ、どこをどう修正すれば、次善の結果が得られるのかさえわかりません。仮に移転した市立病院の赤字が倍にふくれあがり、10億円以上の赤字になった時に、現職市長はどのようにして事態を改善するのか、責任ある対応ができるのか疑問が残ります。
以上要点だけですが、一例としての市立病院移転プロジェクトについてどう考えても経営トップとしての現職市長は普通の企業経営者が真摯に向き合うことが義務付けられている3つの「責任」について向きあっているとは言えません。
市政を検証すると、現職市長は経営者としての資質を欠いています。
鹿児島市交通局の職員が退職する時に、市役所に異動をして本会計から交通局職員の退職金を払うのは独立会計を義務付けられている交通局の会計について粉飾決算の誹りを免れません。透明性の高い会計処理や行政としての説明責任の履行が役所としてはかなり低い水準にあります。民間で少なくとも、決算書の数字を操作して実態と違うものを株主や税務署に見せたら、それは違法行為です。
市交通局は毎年6億円近い赤字、市立病院は毎年5億円の赤字。市の水道事業も13億円の赤字、桜島フェリーは5000万円の赤字です。
しかし、市民の皆さんは鹿児島市の決算書を見ることもないし、人によっては見ても分からないし、市当局がそういう説明責任を果たす訳でもないし、全く実状がわかっていらっしゃらないと思います。逆に鹿児島市の財政は健全だと思っている方が多いのです。
日光の三匹の猿のように、鹿児島市には『知らせざる』『見せざる』『議論させざる』の三匹がいるみたいです。民間企業の経営者が当然のようにやってきたことですが、鹿児島市の経営者には当然しなければならないとの認識は無いみたいです。